2021年5月30日に行われた、
第6戦 イタリアGP ムジェロサーキット
motoGP世界選手権、
motoGPクラスのレース結果です。
見逃した方が結果を確認できるように、これから見る方がこれまでのレースを振り返ることができるように、そしていつでもこのレースを復習できるように、各周回で起きた情報をまとめました。
このページは、motoGPクラスの結果です。
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レース結果
予選結果
FP4
マルケスはまだ右肩右腕が万全ではない様子。
体に負担がかかるサーキット、方向転換が難しいと本人も話していた。
中上Q1スタート。
気温28°、路面温度45°、
ライダーにとっては走りやすいベストコンディションだそう。
予選Q1
Mマルケスがビニャーレスの後についてタイムを出そうと追走。ピットに入ってもついてくるMマルケスに、ビニャーレスが振り返りジェスチャーで訴える場面も。moto3では最近よく見かけるシーンですが、なかなか MotoGP クラスでは見られない光景とのこと。
ロッシもQ1スタート、タイムが出せず、ベテラン勢が苦しんでいる様子。
Mマルケスはビニャーレスの後ろでスリップストリームを利用し、トップタイムでQ2進出、狙い通りの展開。
Mマルケスの最終アタック後、ビニャーレスは単独でアタックを続けていたが、最終ラップでミスがありQ2進出ならず。ビニャーレスが負けてしまったという結末です。
このMマルケスの追走については賛否両論かと思います。Mマルケスに対し王者らしくない、ビニャーレスが気の毒という意見もありますが、ビニャーレスの神経質なメンタルも気になるところです。というのも、予選中、コース端を走っていた中上に、ジェスチャーで主張する場面(抗議に見えた)がありました。
Mマルケスは「ビニャーレスに謝罪した。ビニャーレスが一番早いと思ったからついていった。自分もたくさん追走されてきた。自分ではペースが作れないコンディションの中、仕方がなかった。」と語っています。満身創痍の中、Mマルケスの必死な勝利への執念、なりふり構わずという姿から必死さが伝わってきました。
ビニャーレス自身も、Q1敗退とMマルケスの後追いは関係ないと語っています。
中上はQ2進出ならず。
予選Q2
マルケスは前半出走せず、右肩をさする場面も。後半、今度はビンダーの後ろについて走行。原田さんも「前にだれかいないとタイムを出せないコンディションなのでしょう。」と語っていました。前にライダーがいると本能で追いかけられるということなのか……限界以上のところで戦っているということでしょうか。
終わってみればマルケスはホンダ勢のトップグリッドからスタートとなりましたが、険しい表情に見えました。
結果
クアルタラロはコースレコード更新して、4戦連続のポール獲得。絶好調です。
2:バニャイヤ
3:ザルコ
ポイントランキング通りの決勝フロントローとなりました。
11.Mマルケス
15.中上
19.ロッシ
サーキット/コンディション情報
Hulu生放送の解説は、
原田哲也さん
ムジェロサーキットについて、
「全長5.2km 右コーナー9、左コーナー6、
最高速362.4kmの高速サーキットでテクニカルコーナーも多い。
例年は黄色(ロッシカラー)に染まり熱い声援が飛び交うサーキット、今年は無観客。
直線の速いドカティに有利なサーキット。注目は、地元イタリア出身、ドカティに乗るバニャイヤ」
と解説がありました。
ビンダーが最高速を362.4kmで更新しています。
気温23°
路面温度41°
moto2レース開始前に、moto3予選で転倒したデュパスキエ選手の訃報が発表されたことをうけて、motoGP開始前に1分間の黙とうを捧げる時間が設けられた。全ライダーの悲しみ、仲間としての意識を強く感じる映像でした。黙とう後、マスクをしていても放心状態とわかる、デュパスキエ選手のチームメンバー。泣き崩れていたのは山中選手でしょうか・・・・・・そんなチームメンバーに、ライダーたちが近寄り、ねぎらう姿が印象的でした。
レース結果
各周、冒頭の数字は周回開始時点の順位です。
ウォームアップラップ終了間際、バスティアニーニが、ザルコに追突。
GPクラスではウォームアップラップの終盤、ブレーキを温めるため、急ブレーキかけながらの走行が慣例。追突したバスティアニーニが即座に手を合わせて謝罪のジェスチャーをしていたことを考えると、ルーキーであっても慣例は知っていたものと思われる。
バスティアニーニはレース後、「自分のエアバックが作動していないことに気を取られていた」と語っている。
ディレイかと思われたが、そのままスタート。
ホールショット
1.バニャイア
2.クアルタラロ
3.オリヴェイラ
13.中上
10.Mマルケス
20.ロッシ
2周目
1.バニャイア
2.クアルタラロ
3.ザルコ
10.Mマルケス
12.中上
ビンダーと接触したMマルケス転倒、3コーナー
ビンダーは接触時にエアバックが開いてしまったとレース後に語っている。
モルビデリはコースアウトして転倒したMマルケスを間一髪で回避、コース復帰
先頭を走っていたバニャイア、まさかの転倒、9コーナー
3周目
1.ザルコ
2.クアルタラロ
3.オリヴェイラ
19.中上
17.ロッシ
中上、ピロに抜かれ10番手へ
クアルタラロ先頭に
4周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリヴェイラ
10.中上
17.ロッシ
首位争い、抜きつ抜かれつを繰り返し、クアルタラロが前に出る
ザルコとバスティアニーニのスタート前接触、審議中
5周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
ザルコがストレートで差を縮めるもクアルタラロが首位を守る。
10.中上
6周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
トップのあと、GAP0.8秒、少しずつ差を広げる
7周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
3番手の後、GAP1.37
16.ロッシ
一番手の後、GAP0.95
8周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
10.中上
16.ロッシ
トップの後、GAP1.06
3番手の後、GAP2.10
リンスが好調
トップの後、GAP1.70、その差が広がる
中上、9番手浮上。
9周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
10周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
トップの後、GAP2.07→2.61、差を広げる
ドカティ有利なサーキットのため、クアルタラロは前半に差を広げておく作戦か。
3位の後、GAP2.05
クアルタラロとの差2.61
11周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
スズキの2人が4位争い、ぴったりくっついて走行
3位の後、GAP1.61
トップの後、GAP3秒、クアルタラロ差を着々と広げる
12周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
3位の後、GAP1.19、スズキの2台が3位に追いついてくる
13周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
14周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
トップの後、GAP3.33
3番手の後、GAP0.8
ビニャーレス、トラックリミットワーニング
15周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
トップの後、GAP3.4秒、少しずつ広がる
3位の後、GAP0.75
後半に強いスズキが勢いを増す
16周目
1.クアルタラロ
2.ザルコ
3.オリベイラ
9.中上
15.ロッシ
トップの後、GAP3.75
オリベイラ2位浮上
17周目
1.クアルタラロ
2.オリベイラ
3.ザルコ
9.中上
15.ロッシ
トップの後、GAP4.02
ミルがザルコを交わして3位浮上
トップの後、GAP4.08、徐々に独走状態へ
18周目
1.クアルタラロ
2.オリヴェイラ
3.ミル
9.中上
15.ロッシ
リンスがザルコをかわして4位に。
ザルコのリアカウルが破損してプラプラしている映像が。バスティアニーニ追突の影響と思われる。
19周目
1.クアルタラロ
2.オリヴェイラ
3.ミル
ドカティのストレートスピードを活かし、ホームストレートでザルコが前に出るも、リンスが抜き返す
9.中上、単独走行中
14.ロッシ
順調に追い上げていたリンス、まさかの転倒、15コーナー
4.ザルコ
8.中上
13.ロッシ
20周目
1.クアルタラロ
2.オリヴェイラ
3.ミル
8.中上
13.ロッシ
21周目
1.クアルタラロ
2.オリヴェイラ
3.ミル
8.中上
13.ロッシ
単独で8位を保っていた中上クラッシュ、14コーナー
ロッシ、12番手浮上
ピロがコースアウト走行
11.ロッシ
4位を走るザルコがミルに追いついてくる
22周目
1.クアルタラロ
2.オリヴェイラ
3.ミル
11.ロッシ
23周目
1.クアルタラロ
2.オリヴェイラ
3.ミル
11.ロッシ
トップの後、GAP3秒27
2位争いが混沌としてきました
ザルコが追い上げますが、順位は変わらずフィニッシュ
オリヴェイラがトラックリミット違反でポジション1つ降格、ミルが2位と発表あり。
その後、ミルもトラックリミット違反であったことがわかり、2位オリヴェイラ、3位ミルに戻ると発表あり。
スロー映像でも、リアタイヤがトラック外(緑部分)をわずか(タイヤの幅分くらい)に走行している(?)といった感じ。トラックリミット違反の判定が非常に厳しくなっていることがわかる。
結果
1.クアルタラロ
2.オリヴェイラ
3.ミル
10.ロッシ
ポイントランキング
1.クアルタラロ 105pt
2.ザルコ 81pt
3.バニャイヤ 79pt
12.中上 28pt
18.Mマルケス 16pt
19.ロッシ 15pt
ポイントランキングの履歴はこちら
レース後のインタビューでは、TOP3のライダー全員が、デュパスキエ選手の訃報に触れ、彼に捧げる勝利とコメント。
レース直後、チームスタッフからスイス国旗を受け取ったクアルタラロ。国旗を首に巻き涙ぐむ姿がありました。
表彰式では、まず、丁寧に広げた国旗に静かにシャンパンをおくクアルタラロ。フランス国家を聴きながら脱帽し、天を仰いで涙ぐんでいました。勝利の喜びよりも悲しみが勝っている様子で、そこに優勝したときの満面の笑みは無く、やさしく微笑む複雑な表情に心が苦しくなりました。
レース後のSNSも、デュパスキエ選手を悼むがほとんどでした。ライダー皆が悲しい気持ちを乗り越えてスタートしたレースだったのでしょう。
ご冥福を心よりお祈りいたします。
日本人/注目ライダーの結果
中上 貴晶
予選はQ2止まりとなった中上選手ですが、走行前には「ムジェロは得意なサーキット」と自信をのぞかせるコメント。決勝午前中もトップタイムを記録していました。
15番グリッドから出走した中上は、良いスタートで13番手、中盤は8~9番手で安定して走行。21周目、まさかの転倒で終了を目前に無念のリタイアとなりました。
ピット映像では中上の悔しそうな姿が。残念な結果となってしまいました。
マルク マルケス
予選から賛否両論、巻き起こしていたMマルケス。スタートしてすぐの2周目、9コーナーでビンダーと接触して転倒。2戦連続の転倒リタイアとなりました。
バレンティーノ ロッシ
不調が続いているロッシ。いつもならロッシファンで埋め尽くされている、地元、ムジェロサーキットでの1戦、ファンを大切にするロッシにとって、復活のきっかけになることが期待されます。
19番グリッドからスタートして10位フィニッシュ。順位は上げていますが、「復活」と呼ぶには遠い結果となりました。
7月に今後の進退を決めることになる、と語っているそうです。もう一度強いロッシが見たい、200回目の表彰台が見たい、と世界中のファンが思っていることでしょう。
ファビオ クアルタラロ
ドカティ勢に有利と言われるサーキットで、地元ライダーも多数いる中でのポールトゥウィン達成、完璧な勝利でした。
予選、ポール獲得のインタビューで「これまでで最高のラップ、デュパスキエの回復を願って、このラップを彼に捧げる」と語っていたクアルタラロ。
彼のインタビューはこれまでもとても好印象でした。母に捧げる等、自分以上に周囲を大切していることが話からにじみ出ているからだろうと思います。
表彰台でのクアルタラロ、デュパスキエへの敬意・哀悼が全面に表れた行動に世界中が心動かされたことでしょう。ヘルメットには、デュパスキエのステッカーが貼ってありました。レース後、「9コーナーを走るたびにデュパスキエのことを考えていた、このレースは彼のためのもので、優勝したけど良い気分ではない」と語っています。
まとめ
ライダーそれぞれが様々な思いで臨んだ決勝レース。結果はクワルタラロの見事な勝利でした。中上、Mマルケスは残念な転倒でした。
翌週はカタルーニャGPです。